京都大學,分子科學研究所,大阪大學,ファインセラミックスセンター,高エネルギー加速器研究機構,J-PARCセンター,科學技術振興機構(JST)

令和3年6月3日

京都大學
分子科學研究所
大阪大學
ファインセラミックスセンター
高エネルギー加速器研究機構
J-PARCセンター
科學技術振興機構(JST)

Hイオンの低溫高速伝導を実現

ポイント

京都大學 アイセムス 陰山 洋 連攜主任研究者(兼 工學研究科 教授)、同工學研究科 生方 宏樹 博士 後期課程2回生、Cédric Tassel 準教授、分子科學研究所(兼 総合研究大學院大學) 竹入 史隆 助教、小林 玄器 準教授、大阪大學 接合科學研究所 設樂 一希 助教、ファインセラミックスセンター 桑原 彰秀 主任研究員、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科學研究所 齊藤 高志 特別準教授、神山 崇 名譽教授らの研究グループは、負の電荷を持つ水素であるヒドリド(H?)イオンが、室溫から300度までの低溫領域で優れた伝導を示す固體材料を発見しました。この優れたイオン伝導が、アニオン秩序による高溫相(高伝導相)の低溫安定化によってもたらされていることを見いだしました。

近年、複數のアニオン(陰イオン)からなる複合アニオン化合物が次世代材料として盛んに研究されています。H?イオンを含む酸化物、酸水素化物は觸媒などの機能材料として注目を集めていますが、なかでもH?イオン伝導は高速拡散が期待されることから、激しい開発競爭が行われています。しかしながら、従來の水素化物や酸水素化物では300度以上の高溫域でしか高いイオン伝導が得られておらず、電気化學デバイスなどへの応用のためには、より低溫での高速伝導が望まれていました。

本研究では、電気的な相互作用が強いハードな酸化物イオン(O2–)の代わりに、電気的な相互作用が弱いソフトなアニオンであるハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)を含む化合物BaX(X=Cl、Br、I)に著目したところ、200度で10?3S/cm(ジーメンス毎センチメートル)を超える高いH?イオン伝導を発見しました。関連物質との比較の結果、同物質は、アニオンが秩序化し、高い対稱性の構造が低溫でも維持されることで、優れたH?イオン伝導経路を與えることが分かりました。

従來、リチウムイオンを含む各種イオン伝導體では、カチオン(陽イオン)の無秩序な元素置換により亂れを導入することで、イオン伝導に有利な高対稱な構造を低溫で維持させる戦略がとられてきました。本研究では、ソフトなアニオンを使ったことに加え、秩序を利用するという逆のアプローチによって低溫高速H?イオン伝導が実現されました。BaXは室溫でもH?イオンが伝導することから、電気化學デバイスへのみならず、新たな觸媒や合成への展開も期待されます。米國科學振興協會発行のオンライン科學誌「Science Advances」で2021年6月2日(米國東部時間)に公開予定です。

本研究は、文部科學省 科學研究費助成事業 新學術領域研究「複合アニオン化合物の創製と新機能」、科學技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 CREST「ヒドリド含有酸化物を活用した電気化學CO還元」、文部科學省 ナノテクノロジープラットフォーム事業、JSPS Core-to-Core Program「エネルギー変換を目指した複合アニオン國際研究拠點」、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科學研究所 中性子共同利用S1型実験課題(課題番號2019S10)の一環として行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Anion Ordering Enables Fast H? Conduction at Low Temperatures”
DOI:10.1126/sciadv.abf7883

<お問い合わせ先>

(英文)“Bringing order to hydrogen energy devices”

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